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トゥルーライズのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

トゥルーライズ(1994年製作の映画)
4.3
ハリー・タスカー(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、妻・娘と共にロサンゼルスで暮らすコンピュータ会社のセールスマン。だが、彼の本当の姿は、大統領直属の国家保安組織「オメガ・セクター」所属のスパイだった。彼は、中東で暗躍するテロリストの資金ルート解明という使命を帯び、そのカギを握っているとされる古美術商の女・ジュノに接近する。だが、彼女と行動を共にしていたテログループ"真紅のジハード"のリーダー、アジズはハリーを不審に思い、手下とともに彼の命を狙うが、間一髪でハリーはこれを撃退するもアジズは逃がしてしまう。このゴタゴタでホームパーティーの約束を破ってしまったハリーは謝罪しようと妻・ヘレン(ジェイミー・リー・カーティス)が勤める法律事務所に向かうが、そこで見たのは見知らぬ男と密会の約束の電話をしていたヘレンの姿だった。ハリーは、「ヘレンが男と不倫している」と思い込み、組織の力を使って捜査を開始。結果誤解と判明したものの、その中で妻が抱く「平凡な日常への不満」を知り、ハリーは捜査の延長として彼女にスパイの任務を疑似体験させることにした。ところが、そこへジュノと「真紅のジハード」一味が乱入。夫妻は捕らえられフロリダ半島近くの小島にある彼らのアジトへ連行され、さらには娘も巻き込まれた。彼らはソ連製核弾頭を密売によって所持しており、米軍のペルシャ湾岸からの即時撤退を要求。聞き入れられない場合はアメリカ主要都市を核攻撃するという。ついにはハリーの正体も明かされ、ショックでヒステリーを起こすヘレン。
迎えた国家と家族の危機に、ハリーはどう対処するのか?
「ターミネーター」シリーズで組んだジェームズ・キャメロン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーが、スパイアクションコメディ映画に挑戦した痛快作。
シュワルツェネッガー演じるハリーが、中東テロリスト「深紅のジハード」の核爆弾を使った陰謀に立ち向かうスパイサスペンスアクション。ハリーが、倦怠期の妻ヘレンや反抗期の娘の不満に向き合い、家庭を立て直すホームドラマが組み合わさって、シュワルツェネッガーのアクションとコメディが、楽しめる快作になっている。スキーやスノーボードを装着してマシンガンで武装した悪党集団とハリーが対決するガンアクション、テロリストのリーダーをハリーが馬で追跡してジャズバンドが演奏しお客さんでひしめくホテルを走り抜けるユーモラスな追跡シーン、ハリーとテロリスト一味が対決するアクションシーンではアメリカの戦闘機ハリアーも使用し橋をぶっ飛ばすなどスケールのデカいスペクタクルアクションが展開する。ハリーが、妻ヘレンの浮気の疑いを確かめるために、スパイ組織のガジェットなどを使って尾行したり、スパイと偽って妻をたらしこもうとするチャラ男を締め上げたり、妻ヘレンの嘘やチャラ男に怒りを募らせる「ターミネーター」そのままのシュワルツェネッガーの怖い表情や奥さんの浮気を知ってへこむシュワルツェネッガーの表情に、笑いがこみ上げる。だがハリーと共にテロリストに立ち向かう妻ヘレンが、大した活躍しなかったり、強い良妻の立場からはみ出ない程度の強いヒロインぶりを発揮しなかったりなどが女性層から批判があったり、核爆発の描き方の無神経さやマンガチックなテロリストの描き方が批判された。それでも大人が楽しめるコメディ要素を取り入れたスパイアクションが大ヒットしたのは、シュワルツェネッガーの役柄の幅を広げて意欲作として再評価しても良いと思える痛快スパイアクションコメディ映画。
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