MiYA

あゝひめゆりの塔のMiYAのネタバレレビュー・内容・結末

あゝひめゆりの塔(1968年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

沖縄に行った時にひめゆり平和記念資料館を訪れ、それはそれは大きな衝撃を受けたものです。だから、この話の結末を知っており、それなりに冷静な気持ちで見始めたのですが、あの結末に至るまでの過程においても悲惨なシーンばかりが続き、衝撃でした。これは鬱映画なんてものじゃないですよ。

この映画の独創として凄いのは、対馬丸のエピソードとひめゆりの悲劇を接続させたことですね。この時点で家族を失っている少女たちは、このあとも悲惨で悲痛な場面に次々と晒されるわけで、これはもう悪趣味の領域です。

そして、看護婦としてて少女が駆り出された病院の悲惨な実態も凄絶です。兵たちは発狂し、回復見込みのない者は青酸カリ入りの牛乳を飲まされる(このシーンでの和泉雅子の表情は凄まじかった)。その間も、空からの機銃照射により少女たちは次々と命を落とす。

大人によって無理矢理戦場に連れて来られた少女たちは、挙句に最後は大人たちに見放され、悲惨な最期を遂げる。主演が吉永小百合だし、せめて彼女だけ生き残り、わずかな希望が描かれるのを期待したところもあったのですが、彼女も最期は手榴弾を手に自死する。まさかの全員死亡。

この映画は戦争映画の極北であり、一般人であっても容赦なく死んでしまうという、戦争の悲惨さをこれ以上にリアルに描いたものはないでしょう。自分にも娘がいるので、戦争で子どもが犠牲になるなんてことは耐えられない。いつか子どもが大きくなったら一緒にこの映画を見よう。戦争の悲惨さを理解させねば。

BSプレミアム「プレミアムシネマ」にて。
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