つるみん

エレファントのつるみんのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
3.5
【So foul and fair a day I have not seen】

1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件を題材にしたガス・ヴァン・サント監督作品。

若者の葛藤から生まれる悲劇を一貫して描いてきたガス・ヴァン・サント。彼にしては低予算で非常にコンパクトな仕上がりであるが、そのインパクトは絶大。

銃乱射事件が起こるまでの日常をさまざまな生徒を通して映し出し、トラッキングの手法を取って校内全体の広さであったり、通路をそれとなく我々に把握させるテクニックは秀逸。各々の日常があり、そして最終的に行き着く先を纏め、エンディングへと。

この時期のガス・ヴァン・サントからすれば、かなりユニークな映画作りをしていて、特に人物紹介などを入れ込むタイミングや登場のさせ方などは、かなり思い切りが良い。
ただカンヌを獲るとは凄い。作品としてのインパクトがこの当時はあったのだろうが、正直その後にこういったテーマを扱った良作が次々と出てきたのも事実である。今、観ると、本作は正直薄れてしまうかなとも思わざるを得ない。
つるみん

つるみん