東京国際映画祭学生応援団

エレファントの東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
-
ガス・ヴァン・サント監督がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールと監督賞に輝いた作品です!

この映画は実際に1999年アメリカ・コロラド州で起こったコロンバイン高校銃乱射事件を元に作られました。

映画は最初、ポスタービジュアルにもなっている金髪の少年が学校に向かうところから始まります。しかし、彼が映画の主人公というわけではありません。

この映画ははっきりと主人公は定めず、みんながひとりの高校生として、どんな学校生活を送っているのかということが、流れるようなカメラワークで明かされていきます。

ですが、何気ない学校生活を送っているように見えて、時々垣間見える生々しい生徒間の階級意識は、この学校の闇を予感させます。

そして途中からカメラはのちに同級生に銃を向ける生徒2人を追いかけ始めます。当たり前のように2人は家に銃を宅配してもらい、受け取ります。日本人の感覚からすれば信じられない光景です。

2人がどうして同級生を殺害するような凶悪な犯行に至ったのか、はっきりとした理由は描かれません。逆に考えると、ガス・ヴァン・サント監督はあえて描かず、観客に考える余地を与えたのかなとも思います。

他の人にとっての当たり前の日常の中で、苦しんでいる人、見過ごされている人がいるということを忘れてはいけないということを思わされました。

《鑑賞者:たくみ》