安堵霊タラコフスキー

エレファントの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
5.0
ガス・ヴァン・サントがタル・ベーラの影響で長回しに凝っていた頃に撮った、彼の最高傑作。

ある高校で起こる悲劇を多角的な視点と様々なスタイルの長回しで撮った作品で、自分が長回し大好きってこともあるけど高校生の日常が悲劇に変わる瞬間を長回しがとても効果的に映していて、その切なさと美しさは何度見ても沁みる。(多数の人物がさりげなく交わる瞬間も良い)

後にネメシュ・ラースローが一人称的な長回しで映画を撮ることとなるけど、同じタル・ベーラの影響からか撮り方においてこの作品と共通点が強く感じられた。

ウトヤ島の惨劇を下手糞な1カットで撮った酷い作品も、もしかしたらこの作品みたいな撮り方をしていたら良い作品になっていたかもしれない。

しかしガス・ヴァン・サントはこの5年後に長回しを放棄してしまうこととなるが、普通の撮り方以上に労力を使う長回しに疲れたのか単純に飽きたのか、いずれにしても良いセンスだったから残念でならない。