堀江謙一氏によるヨットでの単独太平洋横断を映画化。
名作『翼よ!あれが巴里の灯だ』と比べて観ると面白いなあ、と思った。
どちらも、リンドバーグ、堀江氏といった偉大な冒険家の偉業を映像化。日米を代表する監督&主演コンビ(ビリー・ワイルダー&ジェームズ・ステュワート、市川崑&石原裕次郎)による見応えのある出来。
本作は、航海に出る前に細々とした備品を備えたり、船内で工夫して料理したり、修理したりといったディテールの描写が巧みで興味深い。
ほぼ船内と大海原しか映らないのだけれど、市川監督の大胆で時折ハッとさせる構図を活かした画面構成であきさせない。出航前までの挿話を回想として挟みこむ語り口もスムーズ。
『翼よ!~』でのエッフェル塔と同じく、本作でもゴールデン・ゲート・ブリッジにたどり着いた際に主人公と一緒に達成感を共有できる思い。
裕次郎氏の陽性でへこたれないキャラクターも、題材によくマッチしている。