gogotakechang

サマーウォーズのgogotakechangのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
4.2
驚いた。
この映画、恐ろしく何も残らない。

仮想現実、アバター、アカウント、ハッカー、その裏に本家・分家、血筋、家族の絆といった、相反する要素が、時間の止まったような信州上田の里山風景と非現実的な疾走感溢れるCGの巧みな演出で交互に表現され、あっという間にクライマックスへ突入する。
そして文字通りの大団円でポッと終わる。

あとに残るのは時間と空間と感情をもみくちゃにされた挙げ句の、心地よい疲労感とほんのりとしたろうそくの灯りのような希望のようなもの。

「ハリウッド映画は何も残らない。」などと揶揄混じりに評されるが、この映画は見事に何も残らない。ただひたすらに、体感の記憶だけである。こんな作品、ハリウッドにすらなかなか無いとおもう。
例えれば、田舎の急な坂道を自転車で、しかもノンブレーキで下り切ったような感じ。

素晴らしいと思う。

東京国立博物館『博物館で野外シネマ』にて。
gogotakechang

gogotakechang