しぇんみん

サマーウォーズのしぇんみんのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
4.0
「よろしくお願いしまぁぁぁぁぁす!!」

経済、文化、コミュニケーションのすべてを、仮想空間「OZ(オズ)」に頼っている世界。

世界中の人々が、インターネットを通じ、生活の一部として「OZ」を利用していた。

高校の物理部員である小磯健二は、学園のマドンナ篠原夏希から、あるアルバイトを頼まれる。

それは、長野県上田市にある彼女の実家まで同行し「結婚前提で付き合っている彼氏」を演じて欲しいというもの。

夏希の実家は由緒正しき武家の末裔である陣内家で、各地から親族が集って来ており、屋敷の主である夏希の祖母、栄の誕生日を盛大に祝う宴が始まるのだった。

その宴も落ち着いた夜、健二のもとにある数式が届く。

数学オリンピックの日本代表に成りかけた過去のある彼は、難なく数式を解き、送信者へ返信してしまう。

その翌朝、「OZ」の世界が狂い始めていた。

そして、世界の命運を賭け、元凶となったAIとの戦いが始まる...。

平凡な高校生が、その才能を駆使してAIが引き起こした世界の危機を救うという物語は、毎年夏になると観たくなる、ドキドキ、ワクワクがいっぱい詰まった作品だ。

人と人との繋がり、そして伝統の大切さを謳った物語は、いつも心を温かく、そしてちょっと切なくしてくれる。

特に、親族が大勢集まり、揉めながらも和気あいあいと食卓を囲むシーンは、リアルなコミュニケーションの大切さを実感させてくれる。

仮想空間に生活基盤を移した世界を描きながらも、舞台となる場所が戦国時代から続く武家屋敷だったり、現代と伝統の描写の対比が面白い。
※畳の部屋にスーパーコンピュータは非常にシュール

また、夏希の祖母・栄の存在感が非常に大きい。「格好良い」の一言だ。

AIによりインフラシステムが混乱した世界にあっても動じず、その人生で培ってきた人脈を駆使し、黒電話一本で要所要所を元気づけてゆくシーンは心を熱くさせる。

そしてラストバトル。

全世界を巻き込んで高校生たちが挑む、ゲーム好きなAIとの花札バトル、セキュリティを突破するための数学バトルは、ドキドキハラハラ、ワクワクすること間違いなしの、手に汗握る名シーンの一つだ。

是非とも一度は観て欲しい一本だ。

ハナマル!

2020/08/23
しぇんみん

しぇんみん