やましょー

サマーウォーズのやましょーのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
4.4
大家族がそれぞれの個性を活かして世界の危機に立ち向かう話です。
映画のキャッチコピーは、"「つながり」こそがぼくらの武器"。

恥ずかしながら、細田守監督作品は初鑑賞。
しかし、知人が勧めるのも納得の、面白く熱い作品でした。オススメです!

物語は、高校2年生の健二が、憧れの先輩夏希の実家である長野県の陣内家で夏休みを過ごす事になる。
そこでインターネット上の仮想世界OZで人工知能ラブマシーンのアカウント乗っ取り事件が始まり、日本中のインフラ崩壊、人工衛星の原発墜落という世界破滅の危機が迫る。
その大きな危機に、健二と陣内家の家族が戦っていく…という話です。

普通に面白い勧善懲悪なメインのストーリー、伏線回収、田舎の風景やネット仮想世界のビジュアル、多いけどキャラの立った登場人物たち、テンポの良い編集、など好きな要素が沢山あり、115分飽きずに鑑賞できました。


(以下、ネタバレ注意)




何より大家族が一致団結して、世界的な危機に立ち向かうというテーマが良いですね。
健二が夏希の実家を訪れると、祖母である栄の90歳の誕生日を祝うために、26人もの親族が実家に集まっていました。
家族の少ない僕には、OZとはまた違う異世界でした(笑)。
栄が中心になって全員が集まる食事シーン。
陣内家では、女性たちは台所で忙しく働く一方で、男性たちはのんびりして影が薄い印象(漁師で戦国好きの次男除く)。
しかし、ラブマシーンの暴走を止められるのは、健二と陣内家の家族しかいないという状況になると、陣内家の男性たちは別人のように奮起します。
巨大なスーパーコンピュータ、大型発電機を搭載した漁船、自衛隊の通信車が次々と家に運ばれる場面は壮観。絵的にも面白いシーンでした。

祖母の栄の活躍も素晴らしい。
世界が混乱する中、1人リンと立ち上がって、数えきれ無い程の親戚や人脈に電話で声をかけ、一家どころか日本を先導し動かしてるような強さと、赤の他人だった健二にも背中を押してくれる優しさが印象的でした。
こんなおばあちゃんが欲しかった…(笑)。
そして数々の名場面を残してからの…なんでだよぉっっ😭😭
ラストショットが彼女の満面の●●だったのも良かったですね。

もちろん主人公の少年たちも大活躍。
ラブマシーンと主に戦うのは、健二と佳主馬という、ネット好きで内気な少年たち。
この2人が、戦いの中で頼れる男に成長していくのも描かれてて良い。
最後のは…まぁ恋愛はこれからって事で(笑)。

衛星墜落が迫る中、大家族が全員で食事するシーンも僕は良かった。
世界の危機を前に、なに悠長な事してんねん、とツッコミがあるかもしれませんが、あそこは一大事だからこそ、家族の繋がりが最も良く現れる食事シーンを入れたのだと思いました。

ラストバトルも感動。
ネットを通じた世界レベルの「つながり」による力が切り札というのが、作品のテーマにも沿っていて良かったですね。
そしてそれだけでは終わらない、リアルな陣内家の危機、それに立ち向かう健二、励ましサポートする陣内家…めちゃくちゃ熱い、本作で1番盛り上がったシーンでした。
そりゃ鼻血もでるわ〜(笑)。

(2020年9月、追記)
フィルマの記事で面白い解釈見つけました。
後半で栄が○○じゃうのは納得いかなかったけど、夏希への世代を越えた「継承」だったんですね。
栄から譲り受ける浴衣や、浴衣の模様が朝顔なのも伏線でした。
ちなみにこれは知りませんでしたが、朝顔の花言葉は「固い絆」だそうです。