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ファントマ/危機脱出の一人旅のレビュー・感想・評価

ファントマ/危機脱出(1964年製作の映画)
4.0
アンドレ・ユヌベル監督作。

フランス人作家のピエール・スーヴェストル&マルセル・アラン共作による同名犯罪小説の映画化です。同原作は1910年代から40年代にかけて何度も映像化されたフランスでは有名な小説ですが、1964年に制作されたカラー版の本作を第1作目とする3部作が一般的には最も有名です。

本国フランスで大ヒットを飛ばした「ファントマ」シリーズ第1弾で、宝石等の金品を華麗に盗んでパリを騒然とさせている謎の怪盗:ファントマと、彼を執念で追うパリ市警のジューヴ警視&新聞記者:ファンドールの対決を軽快に描いた犯罪喜劇の好篇となっています。

ほぼ同時期にアメリカで作られた『ピンクの豹』(1963)に連なる痛快コメディとなっていて、変装の名人で素顔を晒さない怪盗vs警視&記者コンビの攻防をコミカル一辺倒に活写しています。天才的頭脳で華麗に犯罪を重ねる神出鬼没な怪盗に翻弄されっぱなしの警視&記者のおっちょこちょいな奮闘劇がコミカルで、怪盗の顔をモンタージュしたらなぜか警視の顔が浮かび上がってくるシーンは抱腹絶倒ですし、あと一歩のところで怪盗にまんまと逃げられてしまうやられ具合が痛快な犯罪コメディとなっています。また、アクションシーンにも力を入れていて、ヘリコプターの縄ばしごに飛び移って逃亡するシーンや、ブレーキが利かない車での猛スピードチェイス、さらには小さな潜水艦まで登場する海上追走劇…と陸海空を網羅した本格派のアクションが目白押しとなっています。

ドタバタな笑いとスリリングな本気アクションの融合で愉しませてくれる「ファントマ」シリーズ第1弾で、ジャン・マレー、ルイ・ド・フュネス、ミレーヌ・ドモンジョらメインキャストが三者三様の軽快なコメディ演技を披露しています。

蛇足)
ヒロイン役のフランス人女優:ミレーヌ・ドモンジョは「ヤッターマン」のドロンジョ様のモデルになった人物です。
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