コーヒーマメ

ミリオンダラー・ベイビーのコーヒーマメのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
3.7
文字通りの「問題作」。
公開当時、結末に賛否両論が渦巻いたのも納得で、前半部分だけ観れば誰もこの展開を予想できない。

若いウエイトレスが老トレーナーに指導を請い、それぞれの抱える孤独を共有し合うことで女子プロボクサーとしてチャンピオンを目指す。

前半のストーリーはあまりにもベタだが、名匠が息を吹き込めば、こんなにも熱く、ノレる物語になるのか!!
お得意の、丁寧かつ大胆な語り口がとても好み。

《以降、本作をまだ観てない方は読まない方がいいです》





問題は、後半!
前半は壮大な前フリに過ぎなかったという....笑
個人の人生観を揺さぶる驚きのラストだが、前半でキャラクターの背景を緻密に描いてたから取って付けた感じは全くしない。
しかし、この展開はあまりにもショッキング。
イーストウッドは観る者をどこまで突き放すつもりなのか。笑

女ボクサーと主人公の二人が共にアイルランド系アメリカ人であることも、本作により深みを持たせている。
主人公が独学しているのは、アイリッシュの古い言語であるゲール語だ。
また、女ボクサーが王座決定戦で戦う相手は、アイルランドと長きに渡り対立関係にあったイギリス人であり、民族の象徴であるグリーンのガウンをまとってイギリス人に挑む構図が観客をより熱くさせている。
そして、彼らの多くは厳格なカトリック信者なのだ。
だからこそ、本国ではこのラストがより鮮烈に感じられたのであろう。
だが、残念ながら、僕を含めて日本では、宗教的価値観は身近なものではなく、本編だけ観ても全てを理解するのは難しい。。

喜怒哀楽のどれにも当てはまらない感情に持って行かれた。
面白くはないが観ておいて損はない作品。
ただ、ぼくはいまひとつ納得できなかった。
結局のところ、イーストウッドが撮るど直球のボクシング映画を観てみたい。笑