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ミリオンダラー・ベイビーのスペクターのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
4.0
懐かしのベスト・ムービー20  [14位]

『ミリオンダラー・ベイビー』        【4.0】

2004年クリント・イーストウッド監督・制作・主演のアメリカ映画。
家庭に恵まれなく、自分の価値を証明しようとプロボクサーを志望する少女マギー (ヒラリー・スワンク) を元カットマンで活躍したトレーナーのフランキー・ダン (クリント・イーストウッド) が常勝ボクサ-に仕立て上げるサクセス・ストーリーである。
......がそのままでは終わらない、
やはりイーストウッド映画特有の深刻な結末が待っている。


一見、何気ない伏線があちこちに配してある.....ので見逃せない。

「パパが飼ってる“アクセル”というシェパード、足が悪くて前足だけで不恰好に引きずって歩いているの、姉妹して笑っているの.......ある朝、パパは大声で歌いながら森へ出掛けていったわ、夜戻って来たパパは独りで.....車の荷台にはシャベルが.....」
二人が街へ向かう車内での会話であった。

マギーはファイトマネー100万ドルの悪名高きチャンピオンとのタイトルマッチに挑戦、優勢な戦いに持ち込むがゴング後の反則パンチを喰らい再起不能の全身麻痺となる。
あちこちの病院に相談したり、替えたりするが回復の見込み無く、むしろ状態は悪化、寝たきりで褥瘡が進み片足切断の絶望状態。

「ボス、お願いがあるの。 パパがアクセルにしたことを?」
マギーの痛切な願いに、しばらく唖然としていたフランキーは、
「I can't. Please. Don't ask me. ...... Can't.」 ( 出来ない!頼む、私に頼まないでくれ、..... できない!)
その夜、マギーは自分でできる最後の手段を実行した。 舌を噛み切ったのである。

アメリカとはいえ、安楽死の実行は、色々な条件が調わなければ出来ない。

フランキーは、教会の牧師に心の葛藤を打ち明けたり、悩みに悩んだ末、カットマンとしての医療行為の知識・経験があり独断で踏み切ることに。

元ボクサーで左目を失明したジムの雑用掛かりをしている “スクラップ・アイアン” (モーガン・フリーマン)、 そのナレーションがこの映画の格調を一層高めている。

第77回アカデミー賞において、マーティン・スコセッシ監督の『アビエイター』との「巨匠対決」を制し、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞の主要4部門を独占している。
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