タカシサトウ

ミリオンダラー・ベイビーのタカシサトウのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
4.0
[娘への償い]

 父と娘の贖罪の物語。
 
 自分の仕事に頑固なあまり、モーガン・フリーマンのスクラップの目を守ってやれなかった、実の娘とうまくいかずに手紙さえ受け取って貰えない、その悔いを持つクリント・イーストウッドのフランキー。

 そして、家族から愛されず、何とかボクシングで成功しようとするヒラリー・スワンクのマギー。

 この二人がトレーナーとボクサーとして出会うことになり、成功と、そして過酷な運命になる。後半は、全く違う物語に。

 見るに耐えない事故、そして、安楽死。何とも言えない展開に。その底には、家族とうまくいかなかった為に深く結びついた二人の寂しさと罪の意識がある。

 そして、クリント・イーストウッド自身も自分の娘のことを全く見ずに家を出て行ったという過去があるという。クリント・イーストウッドの懺悔(ざんげ)とその贖罪の為の映画でもあるのだろう。(2019.3.16)