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ミリオンダラー・ベイビーのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
3.9
クリント・イーストウッド監督・共同製作・音楽・主演によるヒューマン・ドラマ。
共演はヒラリー・スワンクで、助演はモーガン・フリーマン。
原作はF.X.トゥール(短編集「テン・カウント」収録)で、脚本はポール・ハギス。
旋律が心に染み入るメイン・テーマ"Blue Morgan"(ブルー・モーガン)の作曲はイーストウッド。
原題:Million Dollar Baby
(2004、133分、PG-12指定)

ロサンゼルスで小さなボクシングジムを営む老トレーナーのフランキーの元に、31歳のマギーが弟子にしてほしいとやってくる。
最初は女だからと突っぱねたフランキーだが、熱意に負けて指導する。
マギーは快進撃を続け、遂に世界タイトル・マッチに臨む。
ところが、相手の反則を受け、頸椎を損傷、全身に麻痺が残る。
マギーは、フランキーに「パパがアクセル(父の愛犬)にしたことをして?」と頼む…。

「誰でも一度は負ける」

「タフなだけじゃダメだ」
Tough ain't enough.

「彼女は神ではなく俺に助けを求めてる」

「モ・クシュラ」Mo Cuishle(ゲール語)
→直訳:おまえは私の鼓動→(英訳)「My darling, my blood.「親愛なる(愛する)者よ、お前は私の血」

~登場人物~
・老トレーナーでジムの経営者、フランキー・ダン(クリント・イーストウッド): "止血の名人"と言われるカットマン。アイルランド系。カトリック教徒。23年間毎日ミサに出ているが、神について疑問を持っている。娘ケイティや妻アニーとは音信不通(手紙は全て返送される)。
・プロボクサーを目指すマギー・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク):ミズーリ州の貧民地区に育つ。優しかった父は既に死去。母や妹弟から愛されていない。
・事務の管理人、エディ・デュプリス/"スクラップ・アイアン" (モーガン・フリーマン ): 元ボクサー。フランキーがトレーナーを務めた109試合目で片目を失明。
・パンチを打てないボクサー、デンジャー・バーチ (ジェイ・バルチェル)
・反則ばかりのダーティで危険なチャンピオン"青い熊"ビリー(ルシア・ライカ)
・神父(ブリアン・F・オバーン)
・マギーの母(マーゴ・マーティンデイル) :生活保護を受けて暮らす。
・マギーの妹(リキ・リンドホーム ):赤ん坊がいる。
・マギーの弟(マーカス・E・チャイト):刑務所に入っている。

物語はモーガン・フリーマンが語る形式で展開される。誰に語っていたかは、最後に明らかにされる。
愛する家族が去ったイーストウッドと、同じく家族から見放され愛を得られない薄幸のヒラリー・スワンクが父と娘のような関係になっていく。2人の会話は、2人でヒラリーの家族を訪問した帰り道あたりから信頼と愛情に溢れるものに変わっていきます。
最後にイーストウッドが取る行為については、保守派、障害者団体、キリスト右派から反対運動が起こったようだが、当然だろう。
だが、その行為を正しいと単純化しているのではなく、本作品は2人の交流を通して人間の尊厳を尊重することの大切さを描いている、と捉えたい。
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