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死刑台のメロディのtackyのレビュー・感想・評価

死刑台のメロディ(1971年製作の映画)
4.0
初見は中学一年の時だった。学校の授業でたまたま観たのだが、こんな理不尽な事があっていいのかと、非常に憤慨したのを覚えている。
その後、図書館や書店で、関連事項を調べるうちに、アメリカの闇の部分を知る事になる。
アメリカ最大の冤罪事件で、死刑によって二人の生命が奪われた「ニコラ&バンゼッティ事件」をイタリアとフランスが制作した作品である。

1920年当時、イタリア移民、無政府主義者でなくても労働争議に関わっただけで、非常に差別される時代であった。
「世の中上手くいかないのは、アイツらのせいだ。」何か今のアメリカのようである‥

証人の曖昧な発言、
検事の差別的な態度、
何一つもない物証、
WASPだらけの陪審員達‥誰の目からみても冤罪であるこの事件を、この作品では免罪運動がアメリカからヨーロッパに飛んで、世界中で繰り広げられる様を描いている。
ラストシーン、とにかく静かに最期を迎えたいニコラと、最後まで無罪を訴えて奮闘するバートの、お互いを気遣う様がとても悲しかった。そこにジョーン・バエズの「勝利の讃歌」が流れてエンドロールとなる。

実際それから60年あまり経ってから、1977年に正式に冤罪事件と認められるのだが、今日においても白人警官による黒人惨殺事件など、アメリカの闇はまだまだ止まらない。とても悲しい事である。
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