まさなつ

死刑台のメロディのまさなつのレビュー・感想・評価

死刑台のメロディ(1971年製作の映画)
4.2
心が、静かにではあるが激しく揺さぶられる。

サッコ&バンゼッティ事件。

1920年代のアメリカ。共産主義、無政府主義、労働争議、移民問題、、不穏な世相の中で起こった実際の冤罪事件。いや、国家権力による殺人。明らかに見せしめ殺人。

イタリア移民で貧しい労働者の二人は、アナーキースト(無政府主義者)ということで、強盗殺人事件の犯人に仕立て上げられる。
裁判のシーンが延々と描かれ、証言の曖昧さが立証されていくが、最初から判決は決まっているよう。

彼らへの不当な扱いや魂の叫びは、世界中の人々に伝わるが判決は動かない、、。政治利用されるのではなく、個人として生きたかったであろう彼らの無念に胸が詰まる。涙すらでない。

エンニオ・モリコーネのスコアが沁みる。そしてジョーン・バエズが歌う主題歌も素晴らしい!

多くの方に観て頂きたい。こんな時代もあった、、ではなく、今も起こりうる事として。
まさなつ

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