今から1世紀近く前…多民族国家であるアメリカが、多くの主義思想が混在する混沌の最中にあった時代。
アメリカ司法の歴史的汚点と云われるサッコ・ヴァンゼッティ事件を描いた作品。
知るべきこと。
知らないこと。
山ほどある。
知ることができて良かった。
イタリア系移民たちが迫害され、並んで歩く姿は…まるで葬送の列にも思えた。
この物語は、そんな冒頭から始まる。
国家権力の独善によって、罪無き二人の男が死刑に処された冤罪事件…
今はまだ感情が沸騰している。
刺々しい言葉が浮かんでくる。
虚像を現実にして、真実に蓋をする。
この絶望的な愚かしさ。
それが私たちと同じ人間によって、起きているということが…とても苦々しい。
時代と、思想と、経済情勢…拭い去れない不安感もあったんでしょう。でも、その背景を考えたとしても、許されざる愚行。
人の中にある残酷さを、見せつけられる。
世界を地獄に変貌させる人間の醜さ。
…本当に人は弱いね。
こういう作品を観ると…
いつも反射に苦しむ事になる。
もうすぐ100年が経とうとしていても、根本が変わっていると…私は思えない。
取り繕い方が、巧妙になっただけ。
見えないように、隠しているだけ。
人を不幸せにすれば…世界が不幸になる。
自分の内側にある炎が、自らを焼いてる。
これは世界の縮図。
平穏な日々の裏側に、今もある病巣。
ターミナルケアになる前に、見つめなおさなきゃいけませんね。