これも素晴らしいプロレス映画だ。これはリアルタイムで劇場で見て非常に感動したのを覚えてる。
ミッキーロークが落ちぶれたプロレスラーを悲哀たっぷりに演じる。80年代に人気だったプロレスラー・ランディだが、20年たった今はで地方のインディプロレスで糊口をしのぐ日々。
客もまばらな会場で、身体もボロが来ている中で必死に頑張ってる。家族とは離縁され、ストリップ小屋の熟女に入れあげる。でもプロレスでは未だに人気がある。デスマッチも厭わない。
プロレスしか出来ないし、プロレスが大好き。
でもついに心臓発作で倒れて引退を決意。スーパーで働きながら、娘と関係修復に勤しむ。
でも結局失敗。俺にはプロレスしか無いと危険を承知でリングに復帰する。
まず必要以上にBGMなどで飾り付けず、まるでドキュメンタリー番組のように錯覚させる構成が素晴らしい。
リング下のケッフェイな部分も惜しげも無く晒す内容で、勝敗はあらかじめ決まっているし流血も自分で切っている様を描写してる。ビヨンドザマット以降、エンタメとしてのプロレスが認知されたとは言えかなり大胆に裏側を暴露する内容だ。
一方で具体的には明言していない部分も非常に上手く表現している。補聴器を付けていることも歴戦による職業病だろう。心臓発作だってステロイドの多様から来ている事は間違いない。こういう所を説明過多にしないのが、かえってリアリズムを感じさせる。
そしてダメ男の悲哀と共に好きなプロレスを生ききった格好良さがある。
これを俳優として落ち目なミッキーロークが演じているのが、絶妙なキャスティングだ。
これほどプロレスが「判っている」映画はそうそう無い。傑作！
