ランディが伝説のレスラーだったのも今はむかし。
落ち目となって、体も無理が利かずにドクターストップ、家族である娘ステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)やお気に入りのストリッパーの女キャシディ(マリサ・トメイ)にもそっぽをむかれ、まともな仕事にもありつけずに家賃が滞納する。
ダーレン・アロノフスキー映画で身も心もズタズタに引き裂かれつつも、全盛期を過ぎたミッキー・ロークが自身と重なる復活劇を熱演するハマり役を体現した。
おれの居場所はここだと示す、命を削ってまでアイデンティティーを刻む、そんな不器用な漢の映画はいつでも胸がアツくなる。
プロレスのアクションシーンももちろんいいが、これは生き様の映画で魂の物語である。
本作においてはミッキー・ローク以外では成り立たない、そんな生き写しをみているよう。
ガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child o' Mine」が挿入され哀愁が漂い、ブルース・スプリングスティーン の「The Wrestler」が余韻を味わい深くさせる。
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞。
ゴールデングローブ主演男優賞他受賞、アカデミー賞主演男優賞ノミネート。