町山智浩のサーチライト「ブラックスワン」編の予習を兼ねての鑑賞。全盛期はとうに過ぎた心身ともにボロボロのレスラーの生き様を描いた作品。実生活では何をやっても上手くいかないが、リングの上では老いぼれた自分でも誰かのヒーローでいられるなら、そりゃリングを選ぶだろうと。外的な"痛み"と心的な"痛み"なら、心的な"痛み"の方が深刻であることを、あえて主人公の自傷的な行為を何度も繰り返し映すことで理解を誘う作りになっているけれども、まあ観てる側はレスリングのシーン(特にホッチキスとか物を使うところ)は痛くて観てらんないし、そういう意味でアロノフスキーの術中にはめられたなと思いました。
