狭須があこ

レスラーの狭須があこのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.2
バッカだなぁ……

バカでクズでどうしようもないんだけど、本人にもどうしようもないし、誰にもどうしようもない。
そんな道しか歩けない、不器用な人がいるんだ

金髪長髪筋肉好きにとっては、だいたいラムの振り乱れる髪が映っているので天国でした~。パッケージ見てホラーかと思ってた私がアホでした。

そんで、終盤まではラムのダメダメさにあーあ、って言ってたんですけど、取り返しがつかなくなったことに気付いてからめちゃくちゃ焦りを感じました。
キャシディと感情の流れ一緒だったと思うんだわ。時既に遅し。後の祭り。

でも、何回どこに戻ってシミュレーションしても、彼の生き方だと遅かれ早かれこの結末に行き着く気がするんよな
だから決してキャシディ、ステファニーのせいではないし、誰も傷つかず生きていってね。

大事な人と生きてくために華やかな場所に身を置いてるキャシディと、大事な人と生きていけずに華やかな場所に身を置いてるラム。
どっちの生き方がいいなんて言えないけども、華やかな部分を見て歓声をくれる人々だって、そのほとんどは家に帰れば待つ人がいる。

ラムの生きる場所は彼らの現実逃避でしかないのに、ラムは命をかけて戦っている。彼らという他人に笑顔や勇気を与えるためだけの世界に一人で生きている。
キラキラしていて孤独ではないけど、彼らのキラキラタイムを彩るラムは、大事な人とは違い替えがきく存在なのです

せつねぇ…………
苦しくなるな。

でもそんな、彼のどうしようもない生き方にシビれるんだよなぁ~……。
自分の居場所で全力を貫くこと。
それは、現実を生きる私たちには、難しいことだからだと思うのです。
狭須があこ

狭須があこ