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レスラーのTKSDのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.2
行き場をなくしたどうしようもない男の、惨めで神々しい生き様を容赦なく描いた一作。

男と女とプロレス界の闇と優しさをとことん描き出すところは流石のダーレンアロノフスキー。

本作の主演はニコラスケイジが務める予定だったそうです。それはそれで面白そうでしたが、監督のごり押しにより主演はまさかのミッキーローク。若い方はご存じないかもしれませんが、80年代にチヤホヤされ、調子に乗った挙句仕事を失い苦しみ続けた俳優です。
つまり、本作の主人公とかなり似通った境遇にあった人なのです。
こんなサディスティックな配役を思いつくのはアロノフスキー監督をおいてはいないでしょう。
ですので、本作は事実上ミッキーロークのドキュメンタリーなのです。
恐ろしいまでに生々しいセリフが炸裂するシーンがあるのですが、そのシーンはほとんどすべてミッキーロークのアドリブだったそうです。
俳優と主人公のシンクロを演出として活かしきる手腕はすごいと思う一方で、とてつもなく残酷にも感じました。

もちろん、ミッキーロークを知らない人であっても、演技とは思えない圧倒的な存在感と悲哀に心打たれるのではないかと思います😄間違いなく彼のベストアクトです。
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