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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-のkuuのレビュー・感想・評価

3.7
『抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-』
原題 Un condamne a mort s'est echappe ou Le vent souffle ou il veut.
製作年 1956年。
日本初公開 1957年7月20日。
上映時間100分。

『バルタザールどこへ行く』や『スリ』で知られる巨匠ロベール・ブレッソンの脱獄ドラマ。

1943年、ドイツ占領下のフランス・リヨン。仏軍レジスタンスのフォンテーヌ中尉は、独軍に捕らえられ、モントリュック刑務所に入獄する。
拷問され、独房に入れられたフォンテーヌは即座に脱獄を決意。
囚人と情報交換をし、スプーンで作ったナイフを武器に着々と準備を進めるが、仲間のオルシニが脱獄に失敗し銃殺されてしまう。。。

フランス人という世界一誇り高い国民(他民族から見れば完全にイっちゃってるフランス選民思想と呼ばれる自民族優越感情でもある) の異様なまでの冷静沈着さと、個人主義に基づく決断の強靭さを描き出している。
半世紀以上前の古~ぃ1956年の作品でした。
フランス映画のヌーベルバーク運動やイタリア映画のネオリアリズム運動ともつながっているそうです。
ヨーロッパ映画を渉猟し、系統だてて鑑賞したい人には絶好の作品なんちゃうかな。
第二次大戦中の1943年、ナチスドイツ占領下のフランスで、レジスタンス活動のためにパクられ(捕まっ)ちまったフランス軍中尉が、刑務所の脱獄に成功するまでの話でした。
すべてが寡黙に進行。。。
主人公のフォンテーヌ中尉は、リヨンのモンリュック刑務所に入れられ、死刑宣告を受けた。
ドイツ人兵士を殺害した罪で。
彼は、投獄されたときから脱獄を決意し準備する。
淡々とスプーンを削って刃物に変え、独房の堅いの木でできたドアを少しずつはがし、高い塀を2つ乗り越えて降りるためのを作る。
そして衣服とシーツを裂いて強く撚って長いロープを何本もつくる。
同じ房に入ってきた16歳の少年を仲間にして、死刑執行の直前に2人は実行に移す。
見張りのドイツ軍兵士を殺害し、 塀を乗り越え、薄暗がりのリヨンの町に静かに歩み去っていった。
表情ひとつ変えず、ひたすら黙々とやるべきことをやる。
脱獄の計画が少しでも露見したら即座に銃殺刑。
脱獄に失敗した者たちへの銃声が聞こえる。
こうした恐怖の脱獄シーンはその後、世界中の多くの映画で繰り返し描かれてきた。
その原型になったのが今作品なんちゃうかな。
今作品は、今に語り継がれ、フィルム・ノワールの撮影手法にもつながり、1964年に文芸誌『フィガロ・リテレール』に掲載されたアンドレ・ドゥヴィニー少佐の体験記を忠実に再現してる。
撮影も、実際にモンリュック刑務所で行われたそうです。
ジャン=リュック・ ゴダール監督が『これがフランス映画だ』と謂わしめた作品。
1970年代に入ると、ヨーロッパ映画は下降気味になり、アメリカのハリウッド映画産業が、騒々しいウソの多い虚構の映像で世界を制圧した。
フランス映画界はこのヤンキー文化に 必死で『抵抗』して、秀作を発表し続けたのに、
衆寡敵せずで、
2000年代まで低迷したんちゃうかな。
(セールスとしてやけど)
ほんで、どうやらアメリカ映画の愚劣なる暴力と大破壊シーンと特撮宇宙ものを派手に見せる“バンバン・ムービー。 Bang bang movies の時代が終わろうとしている今、(勝手にそう思ってるけど)ヨーロッパ特にフランス映画の、成熟した大人の味を出す作品の再隆盛を期待する人は多いんじゃないかな。

撮影は『わが青春のマリアンヌ』 (1955年)のレオンス=アンリ・ビュレル。
主演のフランソワ・ルテリエは無名の当時27歳の哲学(本当は愛知学【愛知県の学問じゃなく、フィロソフィーの方】) 科の学生で、その他シャル・ル・ ルクランシュ、モーリス・ベアブロック、ローラン・モノーなども著名な新聞記者、劇評家、 装飾家やそうです。
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