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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-のbennoのレビュー・感想・評価

4.8
冒頭テロップ…
« Cette histoire est véritable. Je la donne comme elle est, sans ornements. »
       ーRobert Bressonー

この物語は真実だ。私は飾らずそれ自体を提示する。
       ーロバート・ブレッソンー



これがこの作品の全て! …ひとりの男の脱獄劇…ヒリヒリとする緊張と恐怖が味わえる"the Reality"…。

無駄を一切省いたカット…虚飾を排除しモデルと呼ばれる役者は演じることをしません。

この作品では"手"と"眼"によるアップを多用…ひたすら脱獄の行為のリアリティに徹します。



1943年ドイツ占領下のフランスのリヨン…
フォンテーヌ中尉はドイツ軍に連行され、移送中に車からの脱走を試みるが失敗…モンリュック監獄で激しい制裁を受け独房へ入れられます…。

ナチの蛮行がこの作品のバックボーンとして大きな意味を持っているのは事実…感情の見えない彼等の無機質さも重々しい現実を感じます…。

ここからフォンテーヌの蟻の歩みのような不屈の抵抗が始まるのです…脱獄することに全力を尽くします…小さなミスが命取り…静かに黙々と作業を進めます。

手や足…あるいは針金、スプーンや鉛筆…それらが被写体となって画面から伝わるのは…彼の溢れ出るほどのに雄弁な逃亡の意志…。

短いカットを連続させる映像や殆どBGMは無く、時折流れるモーツァルト…銃声やドアを削る音、看守の足音など、間接的な演出が緊張感を誘う手法も見事!

こんなに静謐で最後まで緊張感を途切れさせない脱獄劇は初めてです…ラストの"Fin"の唐突さ…うわぁ!! ブレッソン❣︎
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