原題『死刑囚は逃げた、あるいは風は己の望む所に吹く』
主人公がただの犯罪者なら、ここまで味方はいないと思う。これは『抵抗』レジスタンスの手記。ナチスに抗う一人の男の物語。
うちのゴールデンハムスター🐹も脱獄計画を企ててたらどうしよう。もしかして、脱獄までの数々の障害を一個ずつ乗り越えていて、人間が寝ている間に夜な夜な居間を徘徊してたらどうしよう。次の難関どう突破しようか、悩んでたらどうしよう。
そう思いながら観てました。
この独房、なんか結構自由。ほいほい銃殺できるからかな。死刑囚を甘く見ているとしか思えない。おかげで色々と用意周到に準備できる。でも、いくら用意しても用意し足りない。だって失敗即死亡。そもそも人生は一機しか無いし、お金払ってもコンティニューできない。
いざ決行の夜は、すごく緊張した。
一番緊張したのは1mに近づいた時。
一番好きなシーンはゾンビみたいな両手しながら画面から消えて行った時。
あえて映さないことで想像を掻き立てられるからもうドキドキした。
このドキドキ…
もしかして
恋?
ご丁寧に解説などしてくれない。極力情報は遮断され、それはあたかも密室劇のような楽しさ。見えないものは観えないし、耳をすませてしまう音の演出には集中を強いられてしまう。主人公目線でただ淡々と、そして静かに迫る圧倒的リアリティが面白い。
ジャックベッケル監督の『穴』の時もそうだったけど、ギリギリの状況で試される人間の真価、その勇気と運が観ているものを魅了するんでしょうね。
プロの俳優の芝居がかった演技を嫌い、その作品限りの素人ばかりを起用したフランスのロベールブレッソン監督。変わってるなぁ。でも面白かった。
うちのハムスターハウスを覗いてみると、ひまわりのタネをたらふく食べた、ふっくらとしたハムスターが、今日もスヤスヤと眠っていました。