nanashi

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-のnanashiのレビュー・感想・評価

4.5
初ブレッソン。おもに手元や狭い空間の画と、2-3人が同時に移る程度の画が終盤の脱走劇まで繰り返される。実際の空間構成がほとんど想像できない素っ気なさに比して、モノを削る光景や音が発するリアリティが凄かった。
印象としては、ノーランのインセプションの対極にある感じで、マクロな情報がまるで与えられず、最後まで全体像が把握できない。目の前の光景の連続のみで押しきる。

観客に与えられる情報が極端に統制されて、ミクロな部分への集中力がグッと高まることがサスペンスを生んでいたのかも。主人公の一人称視点に同化するような感覚にもつながっている気がした。モノや行為のテクスチャーがふと現われこちらの身体感覚に訴えかけてくる傑作。
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