よしまる

ロールスロイスに銀の銃のよしまるのレビュー・感想・評価

ロールスロイスに銀の銃(1970年製作の映画)
3.6
 
 ブラックスプレイテーションの元祖、バディムービーの元祖と云われながら、永らくソフト化もされず町山UFOにてようやく鑑賞。

 ゴキゲンなソウルミュージックをバックに破天荒な黒人2人組の凸凹刑事コンビが難事件を解決するエロとバイオレンスたっぷりのアクションコメディ、それ以上でもそれ以下でもないストレートな映画だ。ただしこんな映画がそれまでに無かったことはまず間違いない。

 スパイクリーほど黒人至上でもなく、タランティーノほどソフィスティケートもされておらず、良い意味でとても暑苦しいw
 とは言えカーアクションは豪快だし、適度に白人を小馬鹿にしたりして、面白がって観るには最高のエンタメ作品に仕上がっている。なんならシリーズ物で何作も観ていたい。

 原題はコットンカムズハーレム、原作小説のタイトルなのだけれども、綿花を摘むという過酷な労働により虐げられた黒人の歴史の象徴でもある「綿」を小道具にして珍騒動を描くという人を食った設定が痛快。別に2人の刑事がロールスロイスを乗り回すわけでもなく、邦題には苦労の後が窺えるが、そんな頓珍漢なタイトルなどもはやどうでもいい。ブラックムービーと言えば黒人差別の重苦しい映画しか存じ上げませんという方にこそ、機会があればぜひ観て欲しい娯楽大作。いや、全然大作ではないけれど、それがまたたまらなくステキ。

 素晴らしいメインビジュアルイラストがフィルマではグレーの四角なのが猛烈に寂しくて泣きそうw