ぎー

ザ・ロイヤル・テネンバウムズのぎーのレビュー・感想・評価

2.5
『でもこの6日間は私の人生でおそらく最良の6日間であったと言いたいんだ。』
ウェス・アンダーソン特集2作品目。
アンダーソンの映画はお洒落だし雰囲気も素敵なんだけど、良くも悪くも浅い。
この映画はそれが悪い方に作用していて、全然心を動かされなかった。
この映画に関して言えば、お笑い要素もそんなに強くなかったし。
結果的に、笑い無し涙無しの退屈な映画になってしまって、途中で飽きてしまった。
崩壊している家族が幸せとは何かに気づき、絆を取り戻していく様子は素敵だったけど、そんなに斬新な観点でもない。

ただ、天才一家のように外部からは見えるテネンバウム一家が実は問題が山積みで全然ハッピーではなく、家族がお互いを信頼して絆を取り戻して普通の日常を送るところに幸せを感じている様子は凄く共感できた。
特に主人公のロイヤルは破産もしたし、妻エセルを会計士ヘンリーに取られてしまったけど、家族皆と和解し、皆に看取られることができて幸せだったに違いない。
自分もこの後どんな人生を歩んでいくか分からないけど、彼のような最期を迎えられると良いな。

それにしても、ビジネスマンとして成功しながらも妻を失った神経衰弱に苦しむチャス、劇作家として成功しながらも精神学者の夫ラレイと良好な関係を築けず、幼なじみのイーライと関係を持ってしまうマーゴ、スターテニスプレイヤーだけどマーゴへの想いに苦しむリッチーと、テネンバウム家の三兄弟はグチャグチャで個性が鮮烈だった。

1番印象に残っているシーンは、そんなリッチーがマーゴへの想いの苦しみをロイヤルに相談し、期せずして彼のペットの鷲が戻ってくる場面。
家族の絆が修復されていく様子をおしゃれに暖かく描いた、この映画で数少ない心を動かされた場面だった。
アンダーソンの映画は独特でハマる人を選ぶなー。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
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