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ミッションのTPのレビュー・感想・評価

ミッション(1986年製作の映画)
4.5
★1987年映画館、1988年に続き3回目の鑑賞★

 神を信仰することで人はどんな時でも救われるのかという、遠藤周作の「沈黙」でも描かれているタブーに近い命題を中心に据えている。
 侵略軍との戦いを選ぶデ・ニーロ演じるメンドーサ神父たちは、銃器をふんだんに持つポルトガル軍に当たり前だがあっけなくやられ、そこに戦闘場面のカタルシスなどない。
 ラスト近く、瀕死のメンドーサが、祈りを選んだジェレミー・アイアンズ演じるガブリエル神父があっけなく銃に撃たれる姿を見て、自らも悲しみをもって死にゆく姿が忘れられない。
 キリスト教的観点からみての、この曖昧な終わり方が当時物議をかもしたと記憶している。デ・ニーロ主演映画で1986年度のカンヌ映画祭パルムドールを受賞したわりにはあまり話題にならない作品だが、映画としてはかなりの高水準である。

 イグアスの滝の圧倒的な水量と高低差、多くのエキストラを使った生身の人間臭がしてきそうな映像にエンニオ・モリコーネの音楽の美しい旋律は、TV画面ではいまいち魅力が伝わらず、映画館で観てこその映画だと思う。
 初鑑賞時は映画館で、評価は5。TV鑑賞だった今回より、その時の感動を率直に評価したい。
 本作のサントラ盤をかなり好んで聴いていた大学時代が懐かしく思い出される。
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