ギズモX

ミッションのギズモXのレビュー・感想・評価

ミッション(1986年製作の映画)
5.0
【昔むかし、あるところに集落があった】

エンニオモリコーネが亡くなられた。
僕が彼の音楽に初めて聴いた作品がこの『ミッション』で、優しくパワフルな曲に凄く感動して、そこから西部劇やカーペンターやデパルマなどを知っていったこともあって、僕が映画に興味を持つきっかけになった一人でした。

昔の南米を舞台に宣教師と原住民の和解と悲劇を描く、実話を基とした物語。
奴隷商人だったロドリゴが原住民に許され宣教師にへと変えられていくと同時に、"ミッション"という一つの大きな集落が出来上がってく様はとてもパワフルで美しい。
その和解の方法の一つとして、音楽が用いられており、エンニオの放つ旋律がとても重要な意味を与えています。

しかしその宣教の背後には"侵略"という各方面からの思惑があり、それが序盤の十字架につけられた宣教師が滝に落ちていく場面や、"ミッション"が最後に選択した行動にへと繋がっていき、やがて善悪をも越えた人が持つ信仰と信念の姿を力強く映し出していきます。

何が正しいことなのか。
神様は"ミッション"で彼らに何をさせようとしたのか。
彼らを通して我々に何を見させようとしているのか。
この問いかけは後にあのスコセッシが監督した『沈黙』で、本作と同じく宣教師役で出演したリーアムニーソンやアンドリューガーフィールドが演じるもう一人のロドリゴによって代弁されることになります。
日本でも島原の乱が起きたから。

この映画は、昔むかしに南米で起こったことを通して今の時代に希望が生まれるように、そして"ミッション"の人々に救いがあるようにと願う"祈り"だと感じました。

彼の心の底から染みる音楽は、勇気を奮い立たせ、信念を持って前に進ませる力があった。
この美しい旋律がどうか天国でも鳴り響き、彼らに安らぎが与えられますように。

https://youtu.be/s7w-IeNR9ko
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