亡霊怪猫屋敷の作品情報・感想・評価

亡霊怪猫屋敷1958年製作の映画)

製作国:

上映時間:69分

ジャンル:

3.9

「亡霊怪猫屋敷」に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

4.8
めちゃくちゃ面白い!!
小林正樹『怪談』や中川信夫『東海道四谷怪談』はツボ中のツボで、色々日本の怪談映画を見ようと思って手に取ったのですが、とんでもない大傑作でした!

本作は現代編、時代編の二部構成。現代編は妻の療養のために北九州の古びた屋敷に引っ越してきた夫婦を襲う怪猫の恐怖を描くお話。時代編は、その怪猫が、怪猫となった経緯を描く時代劇。青味がかったモノクロ映像の現代編に対し、カラー映像の時代編という見せ方が印象的。

まず、現代編のクオリティの高さにテンション上がりまくり!静かな暗闇の中、廃屋同然の荒れ果てたお屋敷に初めて足を踏み入れる時の異様な雰囲気。母屋に向かう途中、ふと横に目をやると離れの扉が開いていて真っ白な服を着た老婆が臼を引いているのが一瞬映る。そこから長回しで正面の母屋→再度離れとカメラを動かすともう老婆はいない。こういったさり気ない恐怖演出が抜群にうまい。さすが怪談映画の巨匠、中川信夫監督です。

老婆の映し方が巧みで、長い白髪で白いボロという出で立ちによる強みとモノクロ映像を最大限に利用した素晴らしい演出の数々。あまり目立ったことをせず、ただそこに立っていることだけで恐怖を与えるという小細工なしの純粋な恐怖演出が最高すぎて感動しました。鏡を使った演出なんてのもウットリです。

時代編は『鍋島猫』を根底においた怪談。怪談ものは「封建社会への反発」というテーマを根底においていて、理不尽なことをされても文句も言わずにただただ支配階級に従わなければならないことへの不満や恨みが怪異として姿を現わしたものが多い。現実では歯向かうことができないからこその、怪異という死後の世界からのカウンター。一般的に幽霊に女性が多いのも、現実で男性に虐げられた女性の不満や恨みの現れ。『四谷怪談』なんてまさにそうですよね。

本作ももちろんその流れを汲んだ怪談で、頭がおかしいパワハラ家老に理不尽な理由で殺された男が大事にしていた猫(たまちゃん:可愛い(๑˃̵ᴗ˂̵))が、怪猫と化し家老含め一族末代まで祟るという物語。もちろん虐げられる女性というテーマもしっかりと盛り込み、社会に虐げられる男性・女性双方の恨みの代弁者として復讐を開始する怪猫の恐ろしくも応援したくなるダークヒーロー的なキャラクターが物語に引き込む。家老の屋敷に入り込んだ怪猫が内部から徐々に一族を侵食していくのはある種の爽快感すら覚えます。

この時代編を受けた上で現代編に再度戻ってくるのですが、老婆(怪猫)に篭った強い未練が現代編を恐ろしくも悲しい物語へと変貌させる。ここでも気をぬくことなく、声による古典的かつ効果的な恐怖演出により緊迫感を高めている。そして人の業の深さとある種の救いに帰結する幕切れもいかにも怪談的で素晴らしい。

『東海道四谷怪談』を見た時にも思いましたが、中川信夫監督は間違いなく日本が世界に誇るトップクラスの素晴らしいホラー作家。ホラー以外の作品の方が圧倒的に多い監督なので、そう言われるのは本人からしたら不本意なのかもですが、めちゃくちゃうまいんだから仕方ない!(笑)

怪猫ものがツボということがわかったので色々と見ていこうと思います。ちなみに怪猫映画は怪談映画の中でも最多作品数を誇る一大ジャンルで、本作が元にしている『鍋島猫(佐賀猫)』の他にも『有馬猫』『岡崎猫』の3つに大きく分かれます。作品数であの有名な四谷怪談をはるかに上回るというのが凄い。今では全く作られなくなりましたけどね(^_^;)

怪猫含め、怪談映画は当時の荒く薄暗い味のある映像、わざとらしい演技やセリフ回し等が大きな構成要素になってると思うので、今作っても絶対面白い作品は作れないと思いますが、一回全力で作ってほしいとも思います。
怪猫。"かいびょう"と読む。化け猫のことです。さすが巨匠中川信夫監督、随所にその時代の精一杯のSFX感が見られます。特に女中によるキャット空中一回転。着地は減点無しの5.0。素晴らしい。
アノ

アノの感想・評価

3.7
現代編が圧倒的に怖い。
冒頭の誰だか分からないまま行われる主観の長回し、屋敷に侵入してくる老婆の佇まいは真に迫る怖さ。
老婆の現れ方も画面端から歩いてくる、突然中央に現れるなど多様な不気味さの演出に買っている。
ラストのボトッと落ちるミイラもすごい。

過去編でも大仰ではあるがショック演出に頼らない静かな怖さの詰め方が良い。
これもまた化け猫に殺された女中が柵を越えて庭にボトッと落ちるのが良い。
うらめしにゃあ!
古典的化け猫ホラー。

邪知暴虐のロクデナシ権力者に、息子を殺され自身も辱しめられたおばさまが、権力者を呪いながら自殺し、その血を啜らせる事で化け猫を誕生させる。

この辺りのおぞましさは容赦がなくて素晴らしい。

画面の荒らさないだとか、ストレートで古典的な演出だとか、いまやると凄くわざとらしいんだろうな…。

古き良きホラーです。
「タマ」って言うと、サザエさん思いだすでしょ。
Tyga

Tygaの感想・評価

4.0
YouTubeで軽い気持ちで見てみたら、思いの外良作だった。

短期で横暴な権力者に虐げられた男と女の霊が猫に乗り移った後、老婆に乗り移り、猫耳老婆が時空を超えて子孫を襲うお話。

鏡を使った洋風の演出に、和室ならではの掛け軸などを使った和風の演出。
それぞれが教科書にしてもよいレベルで並列していて、とてもよい。
過去編の錯乱の演出は「ハウス」に繋がる系譜か。

現代編の肌の青さが既に死者のそれ。
ラストの猫がすごいかわいかったので、ホラー嫌いにもオススメしたい。
lag

lagの感想・評価

4.0
青みがかった現代編、幽霊屋敷で結核療養。美しい時代編、碁打ちと陵辱の恨み節。化け猫のタンゴ。身体能力と幻影。日本家屋と障子。研究室に響く足音。末代まで続くのだからしかと弔うことだ。
昔の怪談話は今の映像技術や俳優では出せない味があって良いですね!現代篇と時代篇をリンクさせていく脚本も素晴らしいし…他の映画も見てみよ
な

なの感想・評価

4.0
光と影が美しい。
お話の構成も良い。
猫のタマちゃんは、美猫でお利口。
q

qの感想・評価

4.0
ある一族が江戸時代に受けた呪いが、その祖先である現代の主人公にまで何世代も受け継がれるという話。
日本の怪談は怨恨の話、つまり「コノウラミハラサデオクベキカ!」が多い印象です。
復讐パートが超面白い。
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