こたつむり

ゾンビ/ディレクターズカット完全版のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
【今週のゾンビ予報】
今週のゾンビ出現数は、気温の上昇に伴い、広い範囲で前シーズンを上回る見込みです。特にショッピングセンター付近は例年よりも早く出現する見込み。早めの対策が必要です。

いやぁ。驚きました。
この作品は「ゾンビが存在する」ことが、既知の事実なのですね。なるほど。“前作”と称される『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と世界観が繋がっているのですな。うん。先に“前作”を鑑賞しておいて正解でした。

しかも、今回鑑賞したのは『米国劇場公開版』。日本で公開されたバージョンと違って、冒頭に“あらすじ”が無いのです。だから、いきなり戦場のど真ん中に出された気分。じくじくと怖いホラーだという先入観があったから、尚更でした。

また、登場人物たちの一部に限って言えば。
既にゾンビの対応に慣れているのです。
いやぁ。人間の適応力ってスゴイですな。
確かに冷静に観察すれば動きが鈍いですからね。油断しなければ十分に対応できる相手です。

だから、本作はホラー映画ではなく。
サバイバル映画と呼ぶ方が相応しい作品。
それはまさしく「19××年、世界の各地で死体が甦った―」なんて世紀末覇者伝説を想起するような展開。なるほど。黒い馬に乗った大男が暴れたり“強敵”と書いて“とも”と呼んだりするのですね(違う)。

まあ、そんなわけで。
“ゾンビ=恐怖の対象”という認識で臨むと肩透かしの物語。グロテスクな表現も散見されますが、血糊が朱色なので現実味に欠けますからね。今のご時世ならば、子供と一緒に鑑賞しても大丈夫でしょう(見世物小屋の雰囲気は漂っているので、多少は薄気味悪いですけど)。

いや、逆に。
ある程度の年齢に達した子供には“いざという時のために”積極的に見せた方が良いかもしれません。特に主人公《ピーター》の冷静沈着な判断力は、非常時の指標になりますからね。「ゾンビを笑うものはゾンビに泣く」と油断を戒めることも出来ますよ。

To be continued… →→→ 『死霊のえじき』
こたつむり

こたつむり