拓風

ワルキューレの拓風のネタバレレビュー・内容・結末

ワルキューレ(2008年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

知ってる人は知っている、数ある中では最も有名で、そして最後のヒトラー暗殺未遂事件の話。

ヒトラー暗殺の後、ワルキューレ作戦と言う非常事態作戦を使って、国内を取り締まり、現政権転覆を図る一派。
主人公であるシュタウフェンベックはアフリカで片目、片方の手首から下、もう片方の指を失っており、ボディーチェックも免れやすいことから、実行者として選ばれる・・・

まず、やはり全員英語と言うのが少々引っかかった。
しかし、トム・クルーズは大佐の横顔と比べても良く似ており、その他ヒトラーはじめビジュアル的にはあまり文句は無い。

冒頭からシュタウフェンベックは愛国心からヒトラーの排除を心に秘めている。
確かに現在から考えればわからないでもないのだろうが、物語としてその発端が強くないため、感情移入という点では弱かったのかも。
周囲の人間も同じ感じなので、最後皆が離れていくところの無念さが伝わりにくかった。

それでも中盤辺りから話はスピードを増し、結果がわかっていても思わず見入って、あっと言う間にラストに。

結果はご存知の通り失敗なのだが、原因について思うのは、部隊を直接率いるのではなく、いわば通信などで騙す作戦を取っているのに、それらを発信する通信・報道宣伝を掌握できなかったこと。また同じく、動かされる側である軍に想いを同じくする人間がいなかったこと、働きかけることができなかったことも大きかったのではないかと思う。

要因としては他にも判断の遅さ、暗殺場所の変更、爆弾の取り違え、偶然の鞄の移動、爆発後のわかりやすい行動などがあるが、それら様々な要因が丁寧に描かれている点は良かった。
なので「ワルキューレ暗殺未遂」が一体どんなものだったのか知りたい人には格好の映画。

「面白い」や「感動」ではなく、「アクション」でも「サスペンス」でもなく、事件を丁寧に描いた、よく出来た「歴史の1ページ」映画。
拓風

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