Hagieen

ランボー/怒りの脱出のHagieenのレビュー・感想・評価

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)
3.8
ジョージ・P・コスマトス監督、シルベスター・スタローン主演。

ランボーシリーズ第2弾。

服役中のランボーのもとにやってきたトラウトマン大佐。
自由との引き換えとして、ベトナムに潜入し戦時中の捕虜が生存している証拠をつかむミッションを持ってきた。
大佐の依頼という事もあり、承知するランボーは大佐と共に現地に飛ぶ。
潜入し敵に見つかった場合は国際問題になるためアメリカは関与を否定する。いわば捨て石としての作戦だ。
ヘリで上空から降下したランボーは現地情報員と合流し、捕虜がいるとされる敵の拠点に向かう。

ベトナム帰還兵のアメリカでの扱いや後遺症などの問題を描いた社会派作品であった1作目。
今作も当時社会話題となっていたベトナム戦争での戦時中行方不明者(MIA)を題材にしている。
ベトナム戦争が終わって間もない80年代、戦争での生死不明者の遺族から国に対して強い運動があったそうだ。
そういった社会的背景もありこういったテーマを選んだのだと思う。
1作目も国に貢献した兵士たちの悲哀と、もっとリスペクトをくれという叫びを代弁した内容だったが、今作も捕虜や殉死した兵士へのリスペクトが根底にある。
プロット的には社会派を踏襲しているのだが、映画はランボーのヒロイックな部分が強調されアクションが強くなってしまった。
ランボーのイメージのキービジュアルも本作で確定したと言える。
以降、粗製乱造される似たような作品が多い事から、いかに影響力があったか伺える。

ラジー賞を貰った本作であるが、自分的には結構好きな作品である。
1作目は劇場で観れなかったが本作は劇場で鑑賞。
アクション強めだけにスクリーンでの迫力ある映像は堪能できた。
爆薬を矢じりに仕込むボウ・ガンとか印象的だったし、ランボーナイフも大活躍。
当時はやはりアクションに目が行っていたかと思う。

あらためて見ると、スタローンという俳優は悲しみや不屈という表現に秀でた役者で、ロッキーに比べると圧倒的にセリフが少ないながら、見事に感情を表現している。
あの垂れた眼で雨の中立っているだけで物悲しく思うし、唇をひん曲げながら雄たけびを上げ、やり場のない怒りを弾丸に込めて発散するランボーに共に怒りの感情を発散した観客は多かったはずだ。
観客の感情を主人公と同化させるのが非常にうまい役者だと思う。
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