こたつむり

ランボー/怒りの脱出のこたつむりのレビュー・感想・評価

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)
2.5
アメリカ人の良心とストレス発散したい気持ちの狭間に浮かぶ作品。

本作の製作は1985年。
冷戦の終わりが見え始めた頃。
狂気に侵食された70年代を振り払うかのように、色々な意味で派手で大味な作品が多かった時期だと思います。そして、それは本作も同様。まるで前作を否定しているかのように豪快で大雑把。

だから、主人公であるランボーも。
前作では“耐えに耐えた寡黙な兵士”という印象でしたが…本作は最初から気ままで身勝手。だから“ぶち切れた”瞬間のカタルシスも控えめなのです。また、前作のラストが本作に繋がる…のだとしても独断専行の現場判断からは“軍人としての矜持”を感じることが出来ませんでした。

そして、戦闘場面でも。
ベトナム軍やソ連軍相手に無双の活躍を見せるランボーですが、敵の戦闘技術が前作で闘った保安官と大差ないように見えてしまいました(勿論、使用する重火器と火薬の量は違いますよ)。だから、ランボーの戦闘技術が高いのではなく。ただ単純に敵が弱いだけなのではないか…と感じてしまう次第。翻っては前作で驚嘆した戦闘の価値まで貶められた気分。

まあ、でも、本作の主旨が。
ベトナム戦争を引き摺るアメリカ市民のストレス解消…だとすれば。それは成功していると思います。しかも、敵を倒すだけではなく、捕虜の救出を試みるわけですからね。そりゃあ、血沸き肉踊る展開でありましょう。

ただ、色々とご都合主義満載であることも事実。本作がラズベリー賞を取ったのも頷ける話なのです。また、その受賞が“アメリカの良心”のように感じてしまうのは、さすがに思い込みが過ぎますでしょうか…?愛国心溢れるアメリカ人も、ストレス解消のために作られた作品を容認することは出来なかった…というのは妄想でありましょうか?

まあ、何はともあれ。
僕が小学生の頃にリアルタイムで観賞していたなら「面白い!」と鼻息荒くなっていた…かもしれないくらいに、当時の雰囲気を象徴しているような作品でした。だから、僕の評価が低いのは、適切な時期に観賞できなかった“負け犬の遠吠え”なのかもしれません。わおーん。

あ。でも。
たとえ、いつの時代に観賞しても、“恋愛描写”は不要だと思っているはずです。

To be continued…→→→『ランボー3/怒りのアフガン』
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