ユンファ

ランボー/怒りの脱出のユンファのレビュー・感想・評価

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)
4.9
哀愁漂う前作から一転、完全なるアクションへと路線変更したシリーズ第二作。
脚本は我らがジェームズ・キャメロンで、B級映画界の職人監督コスマトスがメガホンを取った。つまりは、「アビス」と「リバイアサン」だ!!
ラジー賞を総なめにするくらい世間での評判は悪いが、オレは大好き。なんなら一作目より好きかもしれない。いや、一作目もやっぱり良いよなあ。
まあ、たしかに前作があれだけ暗鬱とした雰囲気の映画だったのだから、観客にドン引きされても仕方ないかもしれない。「男はつらいよ」を観に来て「ターミネーター」が始まったくらいの衝撃だったろう。
ツッコミどころも山ほどある。命令ガン無視のランボー、元気そうな捕虜、最後までほぼ何もしないトラウトマン、ランボーより強いヒロイン、にもかかわらず瞬殺されるヒロイン、人体をバラバラにしたり家を粉々に出来るランボーの矢、ランボーを避けていく弾丸、ランボーを避けていく爆発、弾切れしないランボー、一人「地獄の黙示録」状態のランボー、最後どっか行っちゃうランボー…挙げればキリがない。
だが、それも込みでめちゃくちゃ面白い。
細かな説明を一切省き、とにかくスピーディーに物事を運ぶことだけを重視したシナリオ。アクションとサスペンスが交互に押し寄せ、観客に考える隙を与えない。気がつけば、ランボーはいつの間にか武器を手にしているのだ。
クロースアップショットを多用した演出も、シナリオのテンポ感と合っていて良い。各種武器兵器は、実際にベトナム戦争で使用されたものが登場するが、一つ一つのディテールをきっちり見せてくれる。
明らかに「メタルギア・ソリッド」の元ネタの一つなので、小島秀夫フォロワーは必見。
これだけ暴れといて何が戦場のトラウマだよ!とは確かに思うが、出会ったばかりのヒロインに「オレはパーティーを欠席しても誰にも気にされないような男さ…」と寂しげに語るランボーが、不憫でならない。
ユンファ

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