えそじま

お嬢さん乾杯!のえそじまのネタバレレビュー・内容・結末

お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

「どうして涙が出たんだろう」

惚れていた、思えばあの時から惚れていた。

「かつての婚約者に愛を出し尽くしてしまった」「この愛は永遠に戻る事はない」

そう思い込んでいた。
喪失を怖れるあまりに自分を見失っていたのだろう。

ありったけの愛を死の無為性によって理不尽に奪われた女が少しずつ、恐る恐る愛を取り戻しにいく健気で美しい姿をショパンの幻想即興曲にのせて。

貧困家庭に育ち戦後成金でのし上がった実直な好漢と没落令嬢の逆転ロマンス。

木下恵介×佐野周二×原節子
後の成瀬巳喜男作品「驟雨(1956年)」で倦怠期夫婦を演じた二人とは程遠い、純粋な関係性。
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