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お嬢さん乾杯!のほーりーのレビュー・感想・評価

お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)
3.8
佐野周二・原節子共演の和製ソフィスティケイテッド・コメディ。

このジャンルはハリウッドの独壇場のような感はあるけど、ちゃんと日本にもこの手の面白い映画はあるのだ。

監督が木下、脚本が新藤と一流の顔合わせによる本作は、没落した華族の令嬢と、成金の自動車修理屋との恋模様を微笑ましく描いた作品。

腕がよく、人柄もよく、金儲けもうまい自動車修理工(演・佐野)は今年34才になるもののいまだに独身で、ある日、取引先の専務から縁談を持ち込まれる。

相手(演・原)は華族の令嬢で、住む世界が全く違うのに俺みたいな男でいいのかよと、佐野は戸惑いながらもお見合いするが、原のあまりの美しさに雷にうたれたような恋をする。

早速、佐野は原にプロポーズするが、何となく原の顔は浮かない。実は原の家はかつての繁栄も今いずこで、父親が刑務所に収監されており、屋敷も借金の抵当に入っていたのだった。

果たして二人の恋の行方は???

オープニングや劇中でさんざん流れる曲が主題歌の「お嬢さん乾杯」のように勘違いするけど、あれは挿入歌「バラを貴女に」。

「お嬢さん~」が主題歌のはずなのに、何故かバーのシーンなど劇中で2回しか流れない。

「バラを~」の方は木下監督の実弟の作曲だし、映画の雰囲気はこっちの方があってるから仕方ないっか。

以上、無駄知識でした!

さて、新藤脚本は会話のテンポがよく、戦後数年しか経っていない日本映画とは思えない。

ギャグも抱腹絶倒ではなく、思わずフフっと吹き出して笑うような感じ。

平民出身の佐野に対して、ボソボソとした口調で結構ディスる原の祖父母がヒドい(苦笑)。

佐野や原にはっぱをかけるバーのマダムを演じる村瀬幸子も良かったし、佐野の弟分でちょっと頼りない佐田啓二も良かった。

あと、ラストに流れる「旅の夜風」の唐突さにはやっぱり何度見てもずっこけてしまう。

■映画DATA==========================
監督:木下恵介
脚本:新藤兼人
製作:小出孝
音楽:木下忠司
撮影:楠田浩之
公開:1949年3月9日(日)
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