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ワイルド・レンジ 最後の銃撃のHKのレビュー・感想・評価

4.5
今世紀に入ってから日本で劇場公開された新作西部劇はごく僅かで、私が知ってる主だった作品はこの20年で30本あるかないか。
その中でも本作がトップクラスの傑作であることを、十数年ぶりの鑑賞で再確認しました。
ケビン・コスナー監督・主演の西部劇というと『ダンス・ウィズ・ウルブズ』ばかり有名ですが、本作はその13年後にコスナーが撮った西部劇第二弾。
本格西部劇をリアルにアップデートして現代に見事に蘇らせました。

美しい映像、人間ドラマとアクションのバランス、魅力的な登場人物たちなど古典にもなりうる格調の高さあり、気品すら感じられます。
たくさん賞を獲った『ダンス・ウィズ~』より私はむしろこちらの方が好き。
一時期、最後の西部劇と銘打った作品が次々と公開され、西部劇はもう本当にお終いなのかと寂しい思いをしていた頃、本作を観てまだまだイケるじゃんと嬉しくなった作品です。

原題は“Open Range” 牛の放牧地を意味しますが、邦題は相変わらずの工夫の無さ。
西部劇の邦題で“ワイルド“はもはやテンプレ化しており安っぽく感じてしまいます。
アメリカではロングラン・ヒットを飛ばしたそうですが、日本でこのタイトルでは客入りは見込めなかったでしょうし、私も公開時は気づかず劇場で観なかったのは全くの不覚。

カウボーイを演じる2人、お腹の出た貫禄のロバート・デュバル(当時72歳)と頭のちょっと薄くなりかけたケビン・コスナー(当時47歳)のコンビがとてもいい。
そしてアネット・ベニング(当時45歳)の顔の小ジワまでが美しい。

私は正統派でもマカロニでもウェスタンは何でも観ますが、本作は誰にでもお勧めしたい優良西部劇です。
西部劇は勧善懲悪で荒唐無稽という先入観をお持ちの方にも是非観ていただきたい。
でも、タランティーノのスプラッタ西部劇が好きな人には向いてないかも。

ケビン・コスナーには西部劇第三弾の監督主演の計画もあったはずですが音沙汰が無いのがちょっと心配。イーストウッドがもう西部劇を撮らないのならコスナーにはまだまだ頑張って欲しいところ。

ポテトさん、ご一緒に再鑑賞の機会をありがとうございました。
ジャケ写もfilmarksさんにお願いしたらイイ感じになりましたネ。
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