Naoto

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのNaotoのレビュー・感想・評価

4.1
初めて会う人と喋る時、目元を一瞥しただけで、
「あ、この人は魅力的な人だな」
という、予感とも直感ともつかない感覚を覚えることがある。

あの魅力は一体どこから湧いてくるのだろうかと思う。

ちょっと前までこうした魅力は、ピカピカに磨き上げた水晶玉のような曇ひとつない道徳観念の所有と実践にあるのだと思っていた。
誰が見ても善と判断できるような、絵に描いたような魅力。

これはさっぱり見当はずれなものの見方だったのだろうなと思う。
善が人間が決めた概念である以上、誰が見ても善い事なんてこの世に存在しないはずで、ピカピカに磨き上げた水晶玉のような道徳観念なんて絵空事だ。

思うに、ああした魅力は、知らずに泣かせてしまった誰かのことを思って後悔する気持ちと、そんな自分すらも赦してしまえるような、田舎の畦道のようなおおらかな気持ちとから、同時多発的に発生してくる錯雑なのだと思う。

そして青春時代とはそうした錯雑に当惑する期間の名前なのだ。

あの煩わしい一定期間を抜けたウィルは、がたぴしゃの車を鞭打ってハイウェイを駆けさせる。

たどり着いたその先には、目元にあの不思議な錯雑を堆積させた、
"魅力的な人"としてのウィルがいるのだと思う。
Naoto

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