いかえもん

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのいかえもんのレビュー・感想・評価

4.5
ボストンに関係ある映画大特集、その3。

ボーンシリーズを除いて、間違いなく若き日のマットディモンの代表作だと思います。ベン・アフレックといっしょに脚本も手掛けたのは有名な話。そして、間違いなく名作。多くの人の心を打つ映画だと思う。
また、今は亡きロビン・ウィリアムスの作品としても、とても良い作品で、久しぶりに鑑賞してもまるで彼が生きているように感じられた。

ハーバードの近くにある理系の最高峰であるマサチューセッツ工科大学、通称MIT。そこで掃除員として働くウィルは、実は数学の天才的な頭脳をもっていた。それを見出したMITの教授は、暴行事件で刑務所入りの決まったウィルを週2回のカウンセリングを受けさせることで、身柄を引き受け、数学の世界への道を開こうとする。しかし彼には複雑な問題があり…。

ウィルという青年の、憶病で、臆病だからこそ強がって、周りに強固な壁を作って自分を守ろうとする、その様子が可哀そうでもあり愛おしくもあります。時に突き放し、時に包み込むことで、彼の心の傷を癒し、成長を促し、また自らも癒されていく心理学者のショーンをロビン・ウィリアムスが落ち着いた演技で魅せてくれます。彼がウィルの抱えた悲しみ全てを包み込んでくれるシーンは涙なしでは見られません。

以下若干ネタバレ。
実は若い頃観た時は、ウィルの最後の選択に納得いかないところもあったんだけど、年を取り、その選択こそ彼が最もチャレンジすべきものだったなと思うようになりました。傷つくことを恐れずに、人との深い絆を作るというのは実は非常に勇気がいることだと思う。数学の難しい式を証明するのが朝飯前な彼にとっては、いい会社に就職して仕事することなんて簡単なことで、それよりも、嫌われるかもしれないという自分の中にある恐怖と向き合いながら、自分を認めてくれる誰かを信じてともに人生を歩むのは最もチャレンジングなことで、そしてそれは彼に大きな幸せをもたらしてくれると思う。生まれてから一度も出たことのなかったボストンを出て、自らの殻を破り、彼女のもとへと車を走らせるラストが彼の人生の始まりを感じさせます。
そして、彼の背中を押してくれるもう一人の人物として忘れてならないのはベン・アフレックが演じる親友でしょう。自分とは違う才能をもつ友人を認め、こんなところにいちゃいけないと言えるってすごいと思う。
MITの教授の嫉妬や苦悩も細かいところまでしっかり描かれた脚本で、若き日の二人の才能に圧倒される素晴らしい作品ですね。