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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのkomoのレビュー・感想・評価

5.0
大好きな物語。
ショーンとウィルの心の交流も素晴らしいのだけど、ウィルを見込んだ男・ランボーとショーンの間にある長年の確執、ウィルとその仲間たちとの熱い信頼関係やら、ユーモア溢れる才女スカイラーとのやるせない愛など。この作品に登場する人物同士の向き合い方は多岐に渡りますが、ひとつの物語の完結に向かって統制良く一途に創られた脚本が本当に好きです。

天才と呼ばれるウィルは様々な本から知識を身につけ、それを記憶の中から自由自在に引き出すことができます。しかし本の知識を借りて他人を批評するウィルに、ショーンは『君の言葉で話せ。君の話なら聞こう』と叱咤します。
ウィルは博識で物事を多角的に語ることができる天才だけれど、ショーンの指摘を聞いていると、『知識の上ではどれだけ沢山の道筋を知っていようとも、自分が人生で歩んできた道筋はたった一本でしかない』のだと考えさせられます。
だからこそエンディングを走る車が一本道を直線に進んで行くのが感慨深いです。

ウィルに反抗的な態度を取られ、見込んだ才能が不意になることを惜しんでウィル自身の人間性をも蔑んでしまうランボー。
「ウィルの言葉に傷つけられた」と自認しながらも、あれはウィルの言葉ではないと信じ、ランボーに「ウィルを敗残者のように呼ばないくれ」と怒りながら懇願するショーン。
野放しにしがたい天才を巡って苦悩する二人の大人は対称的で、どちらの感情もあまりにも強烈に伝わってきました。
ウィルの心の解放に合わせてようやく和解する二人の光景はとても美しかったです。

劇中でウィルは良い人間関係に恵まれている。
ハーバード大生でありながら大胆なジョークが言える恋人も魅力的だし、親友のチャッキーとの絆の深さはきっと誰もが憧れるような友人関係。
けれどパーフェクトな恋人や友人がいたって心の奥底の傷は簡単には癒えなくて、人生は直進だけというわけには行かないのだというリアリティーが、ショーンとのカウンセリングのシーンを更に惹き立ててくれているのだと思います。
あなたに会えてほんとうによかった、というシンプルなキャッチコピーがいつまでも心に残っています。
若かりしマットとベンの粋な脚本と、ロビンの優しい瞳に感謝。