すずき

レミーのおいしいレストランのすずきのレビュー・感想・評価

3.0
ネズミの中でも特に優れた嗅覚と味覚を持つレミー。
彼は保守的な父親と違い、人間の文化、とりわけ「料理」に興味を持っていた。
ある日、レミーは下水に流され家族たちと離れ離れになってしまう。
そしてレミーがたどり着いたのは、憧れのシェフ・グストー(故人)のレストラン。
今は悪徳シェフ・スキナーが乗っ取っているレストランに、新人のリングイニがやってきた。
ところがリングイニは料理はド素人、見かねたレミーは彼を手助けするのだが…

ピクサーアニメーション第8作。
厨房の中にネズミがウヨウヨ、大阪王将の真実をピクサーが映画化!
監督はブラッド・バードだけど、彼は降板した前監督からの引き継ぎ仕事。
「アイアン・ジャイアント」「Mr.インクレディブル」ではっちゃけてただけに、これはホントにブラッド・バードが作りたかった物なのか、微妙な内容でした。

キャラクターのビジュアルは「カーズ」より好きだけど、どうにも好きになれないタイプ。
キャラクター性格や設定というよりも、シナリオの問題か。
まず人間の主人公リングイニが良くない。
ちょっとIQ足りなそうな感じは吹替の演技にも表れてたけど、彼は頭よりも性格に問題ありだ。
厨房での仕事も、零したスープに水を足してミスを隠蔽しようとしたり、ヒロインの先輩シェフ・コレットとの初対面もナメた態度とってたよね。
そんな彼、物語のラストでもほとんど成長が見られないのはストーリーとしてどうなんだろ。
レミーに料理を教えてもらって這い上がるわけではなく、レミーが料理を作ってリングイニ自らは一切料理をしない。
そしてレミーの料理スキルと親の遺産で、最終的に名声とレストランを手に入れる。
自分の力で得た物ひとつも無いよな。

ヒロインのコレットも、最初はしっかりした女性かと思いきや、全然そんな事なかった。
ときめく事なんかひとつもないシチュエーションで、無理やり唇を奪われた相手(リングイニ)に惚れるとか、チョロ過ぎんだろ。
よくエロ漫画とかの、夫の事を一途に愛していたけど、チ○コでかい男に無理矢理やられて惚れて寝取られる女、それとそう変わらん程度の知能ですよ。
彼女の描き方は、今なら女性蔑視とバッシングされてもおかしくないんじゃないかな。

ヴィランのスキナー料理長は、クズだけど面白い人だったな。
初期ピクサーの悪人キャラって、チビorデブorハゲor歯列矯正のどれかで、非常に悪意のある描き方なのが笑える。
これも今では、ルッキズムがどーのこーの叩かれるのかな。

シナリオ上、1番着いていけなかった所は、レミーがリングイニに自分の意のままに料理をさせる方法。
なんと、レミーが彼の頭の上に乗って、髪の毛を操縦桿のように握り、全身を操作するのだ!
…いや、そうはならんやろ。
ファンタジーなアニメなんだからツッコミは野暮なのかもしれないが、故人的にはそのリアリティラインの超え方はアウトだった。