うめ

シェルブールの雨傘のうめのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
3.6
 カトリーヌ・ドヌーヴの出世作。監督はヌーヴェルヴァーグの作家、ジャック・ドゥミ。(ちなみに監督の奥さんは同じく監督をしているアニエス・ヴァルダ!この関係、知りませんでした。)

 通常の(普通に喋る)台詞は全くなく、全て音楽に乗せて語られる完全ミュージカルの作品。私はあまりミュージカル作品を好んで観ないので、この手法はトム・フーパー監督の『レ・ミゼラブル』で初めて観たのですが、こんな前からあったのですね。そしてそうなると音楽がとても重要になってくるのだが…全編に渡って流れるミシェル・ルグランの音楽が素敵。全体的にジャズテイストなのだが、台詞の内容によってストリングス中心にしたり、ピアノ独奏にしたりと実に多彩。ミシェル・ルグランの音楽を聴くだけでも観る価値はある。またその音楽に、フランス語が合う!正直、初めて「フランス語っていいな」とちょっと思いました(笑)ジャズテイストなのがいいのだろうか…。

 それから、衣装や部屋の鮮やかな色がとても印象的だった。明るく楽しいときは赤やピンク、哀しい気持ちのときは水色や黒色といったように、それとなく使い分けられていたように思う。ミシェル・ルグランの音楽にそれらの色使いが加わって、相乗効果で作品を良くしていた。

 ミュージカルだと明るい内容の作品が多いが、今作はミュージカルではなく普通に劇映画として制作したのなら、結構重めの恋愛ストーリー。今となってみれば、ストーリーもありがちだが当時は手法にこのストーリーを合わせたってところにも面白みがあったのかもしれない。

 ただ(これは完全に好みの問題ですが)観ながら「素敵!」と思う一方で、「これ、普通に台詞喋って進めたら、上映時間どれくらいになるのかなぁ」などと苛立ちめいた思いを抱いたのは事実です。なので、フランスのおしゃれな雰囲気の映画が大好きでまだご覧になってない方、ミュージカル大好きな方にはお薦めします。

 あ、ちなみに歌は全て歌手の方による吹き替えです。ご存じない方のために一応。