MARUKO

シェルブールの雨傘のMARUKOのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
3.8

セリフの全てを歌ってるなんて、はじめての体験で正直戸惑った。
"いわゆる演技"による助けが無い。
曲と歌詞と(というより映画そのものが一曲の歌)、歌い方と表情と。
鑑賞中抱いた感覚を例えると、
古いアルバムをただなんとなく見たくなって、感情的にならず冷静に客観的に、1ページ1ページはじめからめくっていき、ただただ昔を思い出してるような感覚。セピア色のノスタルジーな感じ。

感情が分からない。
いや、分かりすぎるから受け止めづらいと言った方が適してるか。映画的に深みを感じるポイントでもある"微妙な感情"が読みづらい。
はっきりと歌詞になるから、このページは嬉しいです!このページは悲しいです…って、そのアルバムにはっきりした原色の感情シールをペタ!っとされる感じ。
決して悪いポイントでは無いんだけど、ここは日本人(私個人)との感覚の違いだな〜と思う。
これが舞台劇であるならば、歌という表現をそのまま舞台の表現として受け止められる。でも、これは映画だから、舞台よりも現実と虚構の距離が近い。どこに本心があるのか。

このはっきりさとシンプルさ。
そういう意味では、手紙を書くシーンが個人的に一番心に残ったかもしれない。含みが多い。

シンプルだけど、故に難しかった。新たな芸術の発掘。
ただそうは言っても、撮る画は1秒たりとも逃すことなく美しかったから、見てるだけで満足だった。
窓外をカーニバルにするセンス。

とっても不思議な感覚になる映画。

p.s.タイトルの入れ方とジャズの入りが、バチバチにララランド笑
取り入れてるな〜
MARUKO

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