大多数の人がそう思うだろうけど、やっぱこの作品がジャック・ドゥミ作品としてもミュージカル映画としても最高だ
この作品の特徴としては何と言っても全編が歌で構成されたオペラのような作風で、この映画があまりに革新的かつ完成度が高いためここまで徹底した作品が後にも出てこないほどだけど、アイディアだけでなく哀愁漂う内容に同じく感傷的で味わい深い音楽に時折見せる大胆なジャンプカットにと、白眉な点を挙げたらキリがないくらい素晴らしさの塊となっている
こういうアイディアが斬新で技法も巧みで内容も心に残り、何度見ても楽しめる作品こそ何年経っても色褪せない真の名作と言えるだろうし、この真の不朽の名作を生んだからこそ死後何年経ってもジャック・ドゥミが尊敬され続けるのだろう
惜しむらくはこの世紀の傑作がアカデミー賞を逃したことで、デ・シーカの風変わりなオムニバスも悪くないけどカンヌと違いこの作品も砂の女も候補止まりに終わったのは未だに悔やまれるし、もっと新しいスタイルの映画に寛容なフリッツ・ラング(この作品にパルムドールを齎した当時のカンヌ審査員長)のような映画人が多ければとつくづく思う