小

シェルブールの雨傘の小のレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
4.1
YEBISU GARDEN CINEMAの特集上映「シネマ・アンシャンテ」で鑑賞。ジャック・ドゥミ監督作、“ヌーヴェル・ヴァーグの真珠”こと『ローラ』を見てググった際、後に続く『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』とあわせて「港町三部作」と呼ぶということを知り必ず見ようと思っていた。

台詞が全部歌というのが最大の特徴で、はじめのうちは違和感がないと言ったら嘘になるのだけれど、さすがは“ロマンチストにして天性の物語作家”のドゥミ監督、ストーリーに引き込まれ、演技が胸に響くようになってくる。

理想の愛と現実、切ない気持ちになるラスト。一見幸せに暮らしていても、心の中には過去の想いが残っている。戻りたくても戻れない悲しみに共感し、余韻に浸る。

場面に合った耳障り良い音楽は素晴らしいし、リアリティからは乖離する鮮やかな原色カラーもこの映画ならしっくりくる感じがする。1度見ただけでは、あまりピンと来なくても、何度か見てじわじわ来る作品という気がする。

「港町三部作」に関して言えば、青年ギイと傘屋の娘ジュリビエーブの恋人同士が、アルジェリア戦争によるギイの徴兵で2年間離れ離れになっている間に『ローラ』で恋に破れたローランが登場する。

愛だけでもお金だけでもない人生の複雑さ、もどかしさ、ジュリビエーブがギイに問う「幸せ?」という言葉…。ローランの心情も考えてしまうせいか、一層、感慨深い気がする。

●物語(50%×4.5):2.25
・切ないラストに感動する。

●演技、演出(30%×3.5):1.05
・やっぱり踊りが見たかった。

●画、音、音楽(20%×5.0):0.80
・音楽、最高。色も良い。
小