上海十月

シェルブールの雨傘の上海十月のレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
5.0
ジャック・ドゥミ展を観に行ったので当然この作品を観なおす。約90分でこれだけ詰め込みラストまで一気に見せ切る奇跡の映画だと思いますね。その後のジャック・ドゥミの迷走振りを考えると生涯最高傑作を早めに作ったんで迷走してしまったのではないかと思う作品。今回見て思うのは、カラー表現の凄さでしょう。原色やパステル、パープルと色の氾濫であるがキャラクターに色を決め、部屋の壁紙にも同調させる演出が凄い。ある種、シュールであり現代美術にも見える。アメリカン・ミュージカルのように飛んで跳ねてハッピーエンドではない、悲劇性と人生が歌でつづられて行くのが、この映画の肝ですね。何回見てもすごいと思うのは、カーニバルで街が騒がしいのに店の中で悲しい気持ちであることが歌われているシーンだ。窓から見える風景は、カーニバルで異常な盛り上がりでも店の中は・・・この対照的なシーンの演出が真似できるようでできない。ラストの再会のシーンは、白く浄化していくようなシーンで心が洗われますね。
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