サーフ

ドラッグストア・カウボーイのサーフのレビュー・感想・評価

4.3
ドラッグまみれの青春を描いた作品。
「ドラッグにまみれた青春」を描いた映画にしてはかなりフラットに描かれている。「トレインスポッティング」のようにどん底からの這い上がりという要素は無いし、「レクイエム・フォー・ドリーム」のようなドラッグが招くバッドエンドがある訳でもない。ただただドラッグを求め生きてゆく若者たちが描写される映画。ジャンキーを扱った映画にしてこのフラットさは新鮮。

後半は主人公の薬物から足を洗う更生の物語。薬物だらけの日常から「疲れ」を感じ、薬物を断つまでの流れがドラマチック性も無くスイッチが急に切り替わったような感じ。でもこれが本当のリアルの薬断ちまでの流れなのかもしれない。
更生の描写が確固たる意志を感じるし、憑き物が落ちた様に穏やかで何気ない日常を噛みしめながら生きる主人公から「真っ当に生きてゆく」という事がしっかり伝わってくる。

主人公のように薬断ちの選択をした者もいれば、仲間のようにドラッグを続ける者もいる。それぞれの選択があるけれど、止めなかった人の転落人生、辞めたものの成功人生を描いている訳ではない。否定も肯定もしない。このフラットさが凄く好き。

主人公の「生きたい」という感情が見ている人の心にさり気なくスッと入り込んでじわじわと浸み込んでいく感覚。ドラッグ映画ながら「破滅」ではなく「希望」を描いた作品。

個人的にかなり好きな映画の部類。定期的に見たい映画かも。
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