Tig

ドラッグストア・カウボーイのTigのレビュー・感想・評価

3.7
マット・ディロン主演、ガス・ヴァン・サント監督の映画。端的にいうとちょっと古いスタイリッシュな感じ。

そんなに抑揚のない展開なのですが、ガス・ヴァン・サント監督は薬を手に入れるまでのスリルを強奪のシークエンスで生々しく伝えてると思います。
また、切れ目の落ち方や若者たちが徐々にマイナスな方向に向かっていってしまう様を上手に表現しているなと思いました。

彼らの青春の儚さ、ドラッグストアを襲い薬物に耽溺する事を通じて共有する仲間意識の脆さが物語が進行するに連れ露わになります。

最初はレクリエーションとかちょっとした享楽的な気分に浸る為にやっていたのに、しばらく常用していると切れ目がきた途端一気に鬱になる。そこからは負のスパイラル。段々普通でいる為に薬を使う。でも耐性ができるから効かない。量増える。最終的に止められなくなってネタをやり過ぎてジャンキー化、仲間割れ、何らかの事故で身内で死ぬ奴が出てくるっていうのは全世界共通なんでしょうか…他のサイトのレビューで日本ではあり得ないみたいな事書いてあったけど、悲しい事に山程ありますから!T^T

中盤以降マット・ディロンが足を洗いサナトリウムに入るシーン。結果彼はそれまで得てきたものを失い、仲間も遠ざけ、女も奪われますが賢明な決断で救いがありました。今まで得てきたものを失う対価として、現実を変えるチャンスを得るという。

色んな人にオススメしたくなるような映画ではないけど、
ガス・ヴァン・サントの繊細なマイノリティの捉え方は個人的に好き。
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